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コミュニケーションファクトリー ~演出工房~

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平成遊郭飛田怪談

「けつかっちん」「まわし」「とっぱらい」・・・

これらはテレビ業界だけで使われる用語です。

「けつかっちん」=後に仕事が入っていて時間内に必ず終わらなけ

ればいけない状況。

「まわし」=司会者かもしくはトークの中で中心になるキャラクタ

ー。

「とっぱらい」=ギャラやクイズなどの賞金を事務所にを通さずに

直接支払うこと。

このようにその業界や一部の地域でしか通じない、隠語はこの世の

中に数多く存在します。

例えば「えんとつ」「おばけ」「けたおち」・・・・

これらは何のことかわかるでしょうか?

これはタクシーの乗務員が使う用語です。

「えんとつ」はメーターを倒さずに自分の懐に売上を入れる不正の

こと、「おばけ」長距離のお客さん。「けたおち」は逆に近距離の

お客さんのことだそうです。

さてここからが本題・・・・

西成区にある平成の遊郭、飛田新地にもそこでしか通用しない隠語

が存在します。

「しのぎ」「まいど」「とんこ」「ゆうれい」・・・

「しのぎ」とは飛田に来る客をターゲットにした強盗のこと、場所

が場所だけに警察に届けない被害者も多いとか・・・

「まいど」はひやかしで、お金を持たずに毎日、町をうろうろする

男のこと、マニアのようにどこのどの女の子がいつから出勤してる

かとかいうような内部事情に詳しいそうです。

いわゆる風俗嬢の追っかけ的存在です。

「とんこ」は借金が回らなくなって蒸発する風俗嬢のことです。

とんずらに語源があるようです。

さて・・・・今日の話題は最後に紹介する「ゆうれい」

この言葉・・・

当然真夏の夜に出てくる幽霊のことではありません。

おそらく、一般的な想像からはこの意味を理解することは難しいこ

とでしょう。

「ゆうれい」とはこの町で働くことによって精神的に壊れてしまっ

た・・心の病を持つ女性のことを言うのです。

魂を抜かれたように彼女たちは町を徘徊することが多くあります。

そんな生ける屍のようになってしまった人たちのことを地域の人は

「ゆうれい」と呼ぶのです。

僕の知っている人は推定年齢40歳の小太りの女性。

毎日トラックが通ると運転席を覗き込み、笑みをうかべます。

聞くところによると、10年前に売上ナンバーワンだった彼女は

当時トラック運転手に恋に落ち、稼いだお金を全てその男に貢いだ

とか・・・彼は何千万ものお金を持ってその上彼女に借金までさせ

トラックに乗り、、「来月帰ってくる」と言い残したまま二度と帰

ってこなかったそうです。

それ以来、気がおかしくなった彼女は、精神病院と飛田を行き来

し、帰ってきたときは常にトラックを探して町をうろうろしてい

るのです。

他にも幽霊のうわさはたくさんあります。

気がおかしくなっても身寄りのない彼女のような人たちは、周りに

守ってもらえることもありません。

病院もすぐに退院させてしまいます。

きちんと病気を治すことすら出来ないのです。

飛田は華やかな町。

そういう場所にこそ、人の憎しみや苦しみが存在します

欲望と憎しみは紙一重のところにあるのかもしれません・・・・


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